▼起業家file.015 江村信一さん 日本パステルシャインアート協会 代表理事


(プロフィール概略) 
キャラクターデザイナー、「パステルシャインアート」創始者。

1950 年大阪府天王寺区生まれ。父親は画家、商業図案家兼新聞記者で私が5 歳の時に他界。小1 で腎臓病を煩い半年間療養。中学・高校と卓球に打ち込み体力と精神力を養う。卒業後、大日本印刷の関連会社に就職。その後、子供のころから興味のあったキャラクターと漫画の勉強に集中する。デザインの勉強を兼ねて幾つかの会社を経験した後、25 歳でキャラクターデザイン専門スタジオ「ディフォルム」大阪で起業。28 歳で上京して(株)サンリオ企画制作デザイン室に入社。34 歳でCIS設立。’95年「天使展」でパステルシャインアート(PSA)を発表。’01 年に日本パステルシャシンアート協会(JPSAA)設立し、’13年に一般社団法人化。現在、認定したJPSAA インストラクター600 名以上、PSA 体験者は20 万人を超えた。

 


●幼少~会社時代ー
絵が好きなのは、商業図案家の父のDNAを受け継ぐ。
幼少時の病弱体質は卓球で克服、キャラクターデザインの世界へ。

 

1950年大阪市天王寺に生まれる。父は新聞記者をしながら商業図案家(現在のグラフィックデザイナー)の実力派でもありました。父が絵を描く姿を見て育ったので、もの心付いた頃には私も絵が好きになっていました。ところが父が39才で他界し、家族は母、姉2人、妹1人、私の5人になってしまったんです。その後、母親が父の企画したものを生かして、カルチャーセンター『生活文化教室』を開校。当時はまだ珍かったので人気が出て生徒数は約500名以上に。茶道、華道、短歌、古美術研究会、書道、ダンス、日本舞踊、写真、などいろいろな講座がありました。

 

私は小1で腎臓病を煩い、約半年間の療養生活に、その後復帰して学校に通う事ができました。また小3の担任があの『よかいち』の書で有名な榊莫山先生、いま思えばビックリですが、絵と書そして自由な発想の影響を受けました。中学では一転、卓球部に所属して体力づくりに励みます。一方絵を描くことも相変わらず大好きで、中1で大阪市のコンクールで入賞、そのことが自信に結びついていきました。高校は母や学校の薦めもあり、デザインとは畑違いの大阪電気通信高校へ(笑)。そこでも卓球に熱中し、大阪府の新人大会ベスト16に。いま思えば、このころに真剣に取り組んでいた卓球のおかげで、マインド面に自己啓発が培われた気がします。卒業後は大日本印刷系列の(株)大日本ポリマーでは、インダストリアルデザインを経験。20 才の時、漫画家・中島たを先生と出会いキャラクターの世界に入るキッカケとなりその後も個人的にプロのデザイナーやイラストレーターから描き方、仕事の進め方などを学びながら仕事をして覚えるという実践型のスタイルで力を付けました。その間、広告代理店、デザインスタジオ、CI 専門会社、・・・などデザインスキルと営業力を磨くために幾つかの会社で制作と営業を経験。

  

●1回目の起業ー
25歳、いきなりキャラクター専門のデザインオフィスで独立起業。
27歳、サンリオに飛込み営業したら、作品好評で逆スカウトされた!!

 

’73年頃から、サンリオの”Patty and Jimmy”や”Kitty”…などキャラクターの一大ブームがきました。そして’76年25歳のとき、大阪心斎橋にキャラクターデザインオフィス『ディフォルム』を設立、いきなり独立起業。今思えば、かなり無謀な行動ですが、この勇気が今の自分におおきな力となっていると思います。多くの方のおかげで色々な会社からの依頼が沢山ありました。サンリオの「キティちゃん」が誕生してキャラクターの世界がおおきく拡大していた時期だったので、キャラクターに特化して仕事を拡げたことが功を奏し、また、外部アーティストの能力にも目を向けプロデュースをして守備範囲を広げることもできました。
  

そして起業1年が過ぎた頃、当時のキャラクターの国内最高峰「サンリオ」に売り込みのため上京。社長宛にノンアポで、いきなり「大阪から来ました。作品を見てほしい」と飛び込みました。社長にはお会いできませんでしたが、企画制作課長にご対応頂き、「弊社のキャラクターをライセンスしませんか?」とプレゼンした処、「あいにく日本のアーティストはライセンスしません」とアッサリの回答。ところが、持参した作品をとても気に入って頂けて「よかったらここへ机をおかないか?」という意外な展開となりました。


大阪にもどって色々な人に相談して応援してくれる人や反対する人、様々な意見をいただき悩みました。当時サンリオのキャラクターブームの効果もあり、あちこちからキャラクター依頼が殺到していて仕事は絶好調。しかし、このまま大阪でブームに乗っかるのもいいが、我流の限界も感じていた頃で「今やったらゼロから学べるかも」という思いが次第に大きくなりました。いろいろ考えたすえ、「憧れのサンリオで仕事ができる!!」よし、このチャンスに乗ろう。

 

●2回目の起業ー

サンリオで実績を挙げたことで更に自信がついた。
今度は東京で起業したい!! 
六本木でデザインオフィスCIS設立へ。

 

相変わらず仕事の依頼は続いていたので、大阪のクライアントにデザイナーを紹介して引き継ぎの段取りを終らせるのに1年近く掛かかりました。そして、休業宣言をして’79年4月に上京しサンリオへ入社。会社に朝から出社、というパターンに最初は馴染めず、ちょっとキツかったのですが少しづつ慣れてきて仕事も覚えていきました。キャラクター開発室に入って3ヶ月後に、憧れのキティーの仕事も参加することができました。また米国サンリオインクに行って、動くキティーのデザインなども手掛けたのは貴重な経験となりました。

そして少しずつサンリオのカラーやユーザーが求めているものが掴めてきました。入社10か月後に犬のキャラクター「トッピー&クッピー」を誕生させ、いちご新聞にも大きく掲載されて人気も出てきました。このキャラクターはライセンスキャラクターとして読売テレビほか約10社の契約が進み、特におもちゃのタカラが大きく展開。その後『ロビーラビット2』キャラクターもヒットして更に自信がつきました。

 

そして、サンリオでの仕事で更に自信がつき、今度は東京で起業してみたい!という思いが募ってきました。そして’84年六本木にキャラクターデザイン&ライセンスオフィスCISを設立。東京に来て5年、友人も知人もまだ少なく独立してやっていけるだろうか、という不安はありましたがキャラクターのブームも手伝って仕事は順調に伸びました。多くのヒットキャラクターに恵まれヤクルト、味の素、明治製菓、学研、三菱電機、三井石油、ライオン、・・・など100社以上に採用され、ロイヤリティ収入で事務所の経営が軌道に乗りました。スタッフも序々に増えて、’89年広い恵比寿のオフィスに移転することになりました。

 

●パステルシャインアートの誕生ー

’95年パステルシャインアートが「天使展」で誕生!!
日野原先生の著書にも採用され、アートセラピーの推薦人に。

 

’95年、阪神大震災や地下鉄サリン事件など、世の中が暗く停滞ムードが漂う年でした。『アーティストとして何かできないか?』と考え「明るい光が必要な時代」と感じて、絵本作家の葉祥明さんらと『天使展』を赤坂で開催。この時に私が描いた作品(写真右上)が、後に「パステルシャインアート」と呼ぶようになった第1号なのです。・・・というのも、「天使展」に出品した作品は、「光・輝き」をテーマとして直感で生まれました。

「天使展」には600人以上の方にご来場頂き、パステルの絵を見て「習いたい!!」と希望する方がいらっしゃり、早速教室を開催することになりました。「パステルを粉にして伸ばしグラデーションでほんわりとした優しい丸い光の絵を描く」という技法を基本として’95年にスタートしました。そこで天使の光・輝きからシャインをとって「パステルシャインアート(PSA)」と名付けました。誰でもスグに上手に描ける!!癒される!!・・・など、とても新鮮なPSAの世界がクチコミで徐々に拡がっていったのです。

そして’01年日本パステルシャインアート協会(JPSAA)設立に至り、’03年にはPHP新書「世界でいちばん簡単な絵の描き方~あなたも10分間で天才アーティスト!」の発刊とNHK『おしゃれ工房』放映で受講者が一気に拡大したのです。
並行して、たくさんの著者の方へキャラクターやPSA挿絵の提供でコラボさせて頂きました。
’01年「元気を出して」文:宇佐美百合子さん、PHP研究所 ’03年「大切なこと」文:松下幸之助氏、PHP研究所 ’11年「心が凹んだたきに読む本」文:心屋仁之助さん、三笠書房 。など計25冊(共著、拙著含む)。合計130万冊達成。それから、2009年にはあの生涯現役医師である聖路加国際病院の日野原先生にパステルシャインアートをご体験して頂き、素晴らしい作品を描いて頂きました(写真参照)。そして、日野原先生の著書「いのちのメッセージ」に10点の作品を挿絵として載せていただけることになったのです。

 


●今後の夢・目標・生き方についてー
心の癒し、心地よい夢の世界へ。
パステルシャインアートを世界へ向けて普及したい!!

現在、PSAのインストラクターは600人以上になっておりますが、日野原先生をはじめ沢山の著名な方々に推奨していただいたお陰で、お医者さん、看護士さん、福祉施設や介護施設の職員さん、学校の先生、セラピスト・・・など幅広い職種の方々に関心を持って頂けるようになりました。PSA体験者も20万人(推定)を越えたところです。

 

’15年には「パステルシャインアート誕生20周年」を迎えるので、本格的な展開も企画準備中です。 ひとつは、JTBパブリッシング社から新刊本を’13年10月発行予定にしております。2つ目は、600名以上のインストラクターの方々と共に、PSAの普及の加速を図るために、新しい枠組みを作っていくことです。3つ目は、最近問合せが増えている海外への情報発信と普及です。海外にはカナダやポルトガル、アメリカのロスアンジェルス、ハワイ、中国、タイ・・・など、既にインストラクターがいます。日本発の新しいアートを世界に発信する仕組みも本格的に構築したい、と考えております。

昔も今もこれからも変わらずに、キャラクターデザインと共に私はこのPSAを通じて1人でも多くの方に喜びと輝きをご体感して頂くお手伝いをしたいと願っておりますので、応援よろしくお願いいたします。

 



●江村信一、私の座右の銘  

 何があっても
『だからよかった』と言えること。

 



▽江村信一キャラクターデザインHP
 http://www1.ocn.ne.jp/~cis/

▽江村信一ブログ D'アートの世界 

 http://emurin.exblog.jp/

▽一般社団法人日本パステルシャインアート協会

 http://www.jpsaa.net/

▽パステルアートfacebookページ

 https://www.facebook.com/JPSAA95

▽江村信一facebook個人ページ

 https://www.facebook.com/emura.shinichi

 


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