▼起業家File.048 大嶋博子さん  ㈱リードポテンシャル 代表取締役



株式会社リードポテンシャル モチベーションUPと対人コミュニケーション強化

1968年名古屋生まれの鎌倉育ち。学習院大学卒業後、近畿日本ツーリスト㈱へ入社、旅行業界の女性営業職第1期生として修学旅行市場で活躍。退社後モチベーション研修の第一人者・津田妙子氏(故人)の一番弟子として10年間師事。営業経験を活かし、接客販売の現場で働く方々の研修や講演を企業や自治体向けに年間約130回実施。

2012年㈱リードポテンシャルを設立、人の心と行動に焦点を当てたモチベーションUPと対人コミュニケーション強化が得意領域。2013年「女性の部下のやる気と本気を引き出す【上司のルール】(同文館出版)」を上梓。上司との人間関係や今後のキャリアに悩む女性部下、およびベテラン女性社員の意識変革にも定評がある。



▲バレーボール部青春時代
▲バレーボール部青春時代

●幼少~高校時代―
中高はバレーボールひと筋、身長ハンデを克服しレギュラーに‼
大学時代は米国ホームステイや雪山アルバイト等で視野を拡げた。

 

1968年名古屋で生まれ、暫くして父の仕事の関係で鎌倉へ。歳の近い4人姉弟(私は三女)、毎日大賑わいな家族でした。姉弟の血液型が全員違うという珍しいパターンで、性格や得意分野も異なり、今は各々全く違う生き方をしています。父は仕事の鬼みたいな人で、小さい頃は、大人は皆土日も全部仕事があるのだと本気で信じていました(笑。現在74歳ですがベンチャー企業の現役を貫いていて、社会人の先輩のような存在です。亡き母はその世代には珍しい理系で、薬剤師をしていました。「一生自分の力で食べていけるようになりなさい、女性はいずれ結婚出産などで自由にならない時期がやってくる。そのためにも、今のうちに視野を広げておくために、大学では遊ぶ時期があってもいいから、必ず4年制に行きなさい」と常々言い聞かされていました。今も私が仕事にこだわり続けているのは、この時の母の教えが大きかったと思っています。


小学6年生の時、友人に誘われてバレーボールを始めました。運動神経には自信があったものの、背が低いという理由でレギュラーになれず、悔しくて背が低い分高く飛べばいいと思いひたすら筋トレに励みました。その結果、垂直跳び70センチ飛べるようになり、レギュラーをゲット‼ 負けず嫌いで徹底してやるところは、この頃からのようです。バレーボールは中学・高校と続け、ともに神奈川県のトップクラスを目指すレベルで、部活のために学校に通っていたような毎日でした。

勉強の中で好きな教科は国語でした。小さい頃から本が好きで、小学校3年生くらいの時に母にねだって原稿用紙を買ってもらい、小説を書いていました。中学時代の国語の先生がとても面白くて、深く文章を読み込ませるような授業でした。試験もすべて記述問題という難問だったのですが、私はそれがとても好きで、最高点だったと思います。いわゆる行間を読むというのが得意だったこともあり、高校時代に成績がどん底に落ちた時でも、国語だけは困りませんでした。


大学進学の時は、将来はカウンセラーになりたいと本気で心理学科を目指していました。母の母校(中等部)である学習院大を含めていくつかの心理学科を受験しましたが、結果として併せて受けていた経済学部に入学しました。大学時代は、それまで部活しかやってこなかったので、いろいろな立場の方、考えの方と関わって視野を広げたいと思っていました。そのため、アメリカにホームステイしたり、雪山に住み込みでアルバイトに行ったりと、学校にはほとんど行かない大学生活でした。その当時の貴重な経験や出会いからとても大きな影響を受ける一方で、もっと大学で学んでおけばよかったと少々後悔もしています(苦笑。


就活時期は、自分の足で立ち自分の考えや想いを伝えていきたいと考え、アナウンサーを目指していました。ところが、局アナの試験を受けてもなかなか受からず、就職浪人もできないのでマスコミ以外の一般企業の総合職も受け始めました。その中で、旅行会社が自分の想いを反映できるようなイメージがあり、内定を頂いた近畿日本ツーリスト㈱へ入社することにしました。



▲修学旅行の営業、企画、添乗全てをこなす
▲修学旅行の営業、企画、添乗全てをこなす

●大学時代、起業のキッカケ

近ツリでは初女性営業職に‼

受講した研修に衝撃を受けて、研修会社に転職。


入社後、横浜の教育旅行専門の支店に配属になり、そこで旅行業界では初の女性営業職として仕事を始めました。何の知識も経験もない中、唯一持っていた元気の良さと大きな声をトレードマークにひたすら営業に励んでいたのですが、ありがたいことに、それを受け入れてくれるお客さまが増えていきました。

 

入社2年目の時、中学の野外教室の添乗を終えた時の解散式で、ある生徒さんからこのような言葉をもらいました。「今回の行事が楽しかったのは、成瀬さん(旧姓)が一緒に行ってくれたからです。来年の修学旅行も一緒に行きたいです」私はあまりの嬉しさに涙が出ました。大切な思い出づくりに携わる仕事をしていることの有難さをかみしめて全力で頑張ろう‼と思いました。


一方で最初の頃は、女性が担当だというだけでクレームが来たりと、まだまだ社内社外ともに風当たりの強い環境でした。一番辛かったのは、添乗中に傷害事件に巻き込まれ、精神的にも深いダメージを負ったことです。外に出るのが怖くなってしまい一か月ほど引き籠ってしまいましたが、なんとか職場復帰をしました。その時に上司の勧めで受講したモチベーション研修が私の人生の大きな転機となりました。㈱スリーマインドの津田妙子氏の研修で驚くほどの元気と勇気をもらい、また頑張ろう‼きっとできる‼と思えるようになったのです。ものの考え方や捉え方次第で心も行動もこんなに変わる‼とマインドの重要性に深く納得したのもこれがきっかけでした。いつか必ずこの方と一緒に仕事をしよう‼と心に決めて、胸を張っていける実績を出したら、弟子入りしたいと思って頑張ったのです。


その後、結婚のこともあり’98年に旅行会社を退職し、津田社長にお手紙を出しました。すぐに連絡があり「結婚式や新婚旅行など生活が落ち着いたら一度事務所へ面接にいらっしゃい‼」と…。そして8月に事務所へお伺いし、もう一人の代表者の方と社長と私の3人で色々な話をして「一緒にやろうよ‼」とお誘い頂いたのです。


●起業の決断、起業―

修行時代の大失敗から猛反省、10年で師匠の一番弟子に成長。
師匠の訃報…、必死の代講。そして志を受け継ぐために独立起業‼

 

師匠のもとでの毎日が嬉しくてたまらない一方で、修業時代はすごく焦ってもいました。周りは凄腕のプロフェッショナルしかいない、そんな中でたった一人の素人でした。’98年に入社して半年後、初めての新人研修の季節がやってきました。師匠に連れられて、その一部を担当するように任されましたが、結果は散々…。もちろん、必死で勉強していきましたが、敬語の授業で受講生の新人さんの半分以上は寝てしまったと思います。話せば話すほどドツボにはまり、時間は完全にオーバーし、頭の中が真っ白でした…(汗。期待に応えられない自分のふがいなさに大ショックで落ち込んだことを覚えています。それもあって、絶対に眠らせない‼飽きさせない‼受講生を惹きつける講義をする‼ということをトコトン心に刻み、今でも意識しています。


入社から10年を経て、私は師匠の一番弟子として胸を張れるほど自信が付いていました。ところが’08年、師匠がくも膜下出血でお亡くなりになったのです。あまりにも突然のことで、その時は悲しむ間もなく師匠の代講に追われ、とにかく講義の穴を空けてはいけない、会社をつぶしてはいけない、という一心でひたすら頑張っていました。その後、経営者が変わり会社の目指す方向が少しずつ変わっていく中で、私は自分自身が師匠から教えて頂いたマインドを大切に語り継いでいきたいと思うようになり、起業を思い立ったのです。


それでも暫くは起業することがイメージできず、思い立ってから2年ほど悩んだ末、2012年2月に現在の会社を立ち上げました。独立を考え始めたころから、いろいろなところの勉強会や研修に顔を出すようになり、そこで出会った仲間から後押しを頂いたこともあって、踏み切ったのがこの時期でした。私のポリシーは「現場で働く人が笑顔であること」。研修で出会った多くの方々は「過去の失敗経験から、自分の可能性や人間関係をあきらめている」ことがとても多かったのです。自分の可能性にフタをしてほしくない‼進化していく嬉しさを知ってほしい‼…その想いで心を整えるマインドトレーニングや、ちょっとした無意識の怖さに気付くことからのコミュニケーション力向上などの研修を手掛けております。


●起業後のエピソード―

とにかく師匠のお客様を大切に、大切に対応。

お客様、家族、友人知人のお陰で、起業後の事業は順調に‼

 

起業間もないころ、数年前に研修でお世話になったお客さまからご連絡がありました。その方が異動なさって、そこで研修をしたいから、ぜひ来てほしい、とのお話でした。実はその方とのご縁は、私の師匠がなくなった時に、代講で伺ったときからのものでした。その研修は年6回シリーズのうち、すでに3回が終わっていて、受講生も担当者も、師匠の大ファンになっている状態でした。

そんな中、明らかに力量の違う私が代わりに伺ったのですが、皆さん温かく迎えてくださり、師匠を悼んでくださいました。その後、起業したことをお伝えしたら「それじゃ、大嶋さんの会社のお客さん、第一号になるよ‼」と言ってくださって、本当に嬉しかったことを今もよく思い出します。お客さまとのご縁に支えられていることを胸に刻み、ご縁と感謝を一番に想って仕事をしております。


起業した年に夫の仕事の関係で海外(バンコク)に住居を移したこともあり、駐在員の奥様達とのご縁が深まって、コミュニティをつくったり、現地法人の方とご縁ができたりと、日本にいたらできなかった経験を積むことができました。また、文化の違いによる考え方や仕事への姿勢もリアルに感じることができ、コミュニケーションや指導育成の研修に大変参考になることが多かったです。月に2往復はしているので忙しい毎日ですが、周りの方々のご協力やご支援をたくさん頂きながら、順調に仕事をしております。

無知だったのは、経理です。お金に関することにほとんど興味がなかったこともあり、経理処理、税務の知識など全く知らなくて、第1期の決算は本当に大変でした。さらに私は日本の非居住者ということもあり、源泉徴収税など毎月納税義務があるのですが、海外との往復で銀行に立ち寄れなくて慌てて振込したところ、用紙の記入方法を間違えて、追徴課税がきてしまったり…。その後訂正して事なきを得ました(汗。


また、2013年5月に初めての著書「女性部下のやる気と本気を引き出す上司のルール」を上梓。女性の育成に欠かせない「上司のストレス・不安・疑問の解消」をしたいと考え、この本を書きました。現場で悩み自分の可能性に気付いていない女性の皆様を応援したい‼という思いで日々取り組んでおります。

 

●今後の夢、目標‼

同じ志を共有できる研修講師を育成したい‼

個人向けの講座の展開もスタート‼などNextステップへ。


人を育てたいですね。自分一人が商品の状態だと、どんなに頑張っても物理的に研修できる日数が決まってしまいます。今でもすでに受けきれなくてお断りすることもあり、それが一番申し訳ないと思うのです。私が対応できない時に、同じようなマインドで研修ができる他の講師を育てること、私とは異なるジャンルの講師と手を組んで仕事をしていくこと、講師を育てネットワークを広げること、がまず大切だと思っています。


企業様にご提供している研修プログラムの中では、「①社員の心に火をつけるマインドアップ」「②お客様を惹きつける感動接客」「③やる気を引き出す指導育成」…などが高い評価を頂いております。私自身としては「女性社員やる気本気活性化」「ごく普通の女性社員をモチベートし、イキイキと戦力化する」領域が得意で、ここに注力していきたいと考えています。


今年から個人向けの講座をスタートしたいと思っています。これまでは企業にお招きいただくことがほとんどだったのですが、そこで出会った受講生の方からも個人的にもっと受けたい、とのお声をいただいていました。今年、いろいろなご縁をいただく中で、そのタイミングが来たようだと感じています。

 

プライベートでは、16年ぶりにゴルフを再開したいです。結婚してからやめていたのですが、せっかくゴルフ天国のタイにいることもあり、将来長く楽しめる趣味として再開することにしました。実は、これといった趣味がなく、強いて言えば仕事が趣味か??という状態だったのですが、プライベートの充実も意識していきたいと思い始めました。


▲近ツリの会社案内に掲載された写真
▲近ツリの会社案内に掲載された写真

 
▼大嶋博子さんの座右の銘

いいことがあるから笑うんじゃない、笑っているからいいことがある


亡き師匠・津田妙子氏がよく口にしていた言葉です。

心は形を求め、形は心を整える、とも言います。落ち込んだ時、うまくいかない時、はひどい顔になっているものです。心が落ち込んでいるときだってある、でもそんなときこそ、顔をあげてにっこり笑えば、必ず周りが反応してくれて、それを見て少しずつ心が元気を取り戻す、これが私のポリシーでもあります。うまくいかない時こそ、顔だけでも笑う“顔晴る”を心がけていきたいと思います。


〇心のアンテナ日記(ブログ) http://ameblo.jp/genki-wakuwaku/

〇大嶋博子FB個人ID  https://www.facebook.com/hiroko.oshima.LP



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