1938年愛媛県生まれ。高校卒業後、東京ガスにメーター検針員として就職、ガス関連業務を担当した後、1991年に赤字続きであった子会社の㈱ガスターに営業本部長として出向し黒字化に成功。さらに1997年から経営不振の東京器工㈱も再建した。東京器工時代の2000年に㈱高齢社を設立し、2003年に東京器工の社長を辞した後、高齢社の社長に就任した(現在は会長職)。また高齢社設立の頃から難病「パーキンソン病」を発症しながらも、常に前向きで生涯現役を実践している明るくエネルギッシュな経営者。
人本主義(社員・協力企業第一主義)の経営哲学を貫き、「人間味あふれる社徳のある会社づくり」を目指す。高齢社のビジネスモデル普及やシニアの起業促進のために日々奮闘している。
●サラリーマン時代についてー
大学進学せずに就職、
ダメ社員から始まった東京ガス時代。
私は愛媛県八幡浜市の比較的裕福な家庭の6人兄弟の4番目として生まれました。しかし小5の時に父が失業して生活が一転、家計を助けるためのアルバイトの掛け持ち生活が始まったのです。
子供の頃から数学が得意で、大学を出て数学者になる夢を持っていましたが、大学進学は断念して東京ガスの検針係として就職。
入社後は仕方なしに就職したという意識が強く、5年位は仕事に身が入りませんでした。遅刻の常習、研修や試験をボイコットなど、さんざん叱られたダメ社員だったのです。
しかし6年目の転勤で、親身に接してくれる上司との出会いで私は変わりました。その上司は厳しさと優しさを兼ね備え、勉強会を開いたり、仕事のイロハを教えてくれたのです。
また「話し方教室」では話力はより良い人間関係を築くということを学んだり、「人ノート(あらゆる関係者の考え方・人柄をまとめる)」の記帳などで管理職スキルを付けながら、係長からマネジャーへと順調に昇格していきました。
●起業のキッカケや背景は?
55歳のとき(60歳の定年まであと5年)、
たまたま参加した橋本龍太郎氏講演のスピーチに閃いた・・・!!
55歳を迎えて(60歳定年まで5年)、定年後の生き方について色々と考えるようになっていた。そんな中、橋本龍太郎先生の講演を聴いたときのことだった。
「これからの日本は、物凄いスピードで高齢化社会の波がやってくる。高齢者は社会のお荷物にならないように頑張る必要がありますが、まだ社会や企業側に高齢者の活用方法や受け入れ環境が整っていません・・・」という言葉にパッと閃いた。60歳で辞めた後も経験とスキルを活用した仕事場を提供することがビジネスになる、と!!
●起業の構想や準備、そして決断は?
5年掛けて高齢社3方よしのビジネス構想を実現。
関係する人が全て喜ぶ社会貢献モデルにしたい!!
高齢社設立のキッカケは、出向先の東京器工の社員が60歳定年後も働く意欲充分であったこと(人材調達の可能性)と、ガス給湯器の設置時期は読みづらく、対応する人員計画を立てるのが難しい(ピーク対応や突発的な派遣ニーズがある)ことでした。
働く側は、毎日が日曜なら休日手当ても不要、経験豊富だから教育コストも不要。そして年金受給者が多いから、生活のために働く訳ではないので、月8万~10万円で大きなハッピーとなるようです。
入社資格は60歳~75歳未満、気力・体力・知力のある人。業務のある時のみ勤務する不規則勤務形態、出来高払い、賞与・退職金なし。2000年1月高齢社は25名のOBでスタートしました。
この頃、実は徐々に「パーキンソン病」が発症していたんです。首の違和感、手足の震え、言葉が出ない・・・など、体の不調が続きました。人に助けてもらうことが増えた反面、他人の痛みが分かるようになり、他人のために働きたいと思う気持ちが強くなりました。
●起業後のエピソードについてー
みんなの会社だから、会社の利益は社員にも還元する!!
創業以来3つの行動指針のもとに業務に取り組んできました。1.オレ(私)がやる 2.協力する 3.明るく行こう。
会社の成長は社員の努力の結果なので、黒字が出たら利益の一部を社員に還元しています。高齢社は資本主義ではなく、「人本主義」の会社なんです。年2回の慰労会開催、全社員への社内報の発行、相談窓口の設置、社員証の発行、オフィスのビールは16時以降社員にも解放など、「人間味あふれる社徳のある会社づくり」を実践しています。
また、とてもユニークな会社ということで、「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」を始めマスコミ各社で取り上げていただき感謝しています。お陰様で登録希望者、企業からの問合せ、高齢者に関するいろいろな相談案件が増えています。
●今後の夢・目標・生き方についてー
”1人でも多くの高齢者に働く場と生きがいを提供したい”
一般社団法人高齢者活躍支援協議会を設立。
高齢社のお客様は、私の出身母体である東京ガスグループの仕事が中心です。ただ社会には沢山の業種があり、それぞれの業種に高齢社のようなモデルの人材派遣の会社を創って、1人でも多くの高齢者に働く場と生きがいを提供したいのです。そのために2009年に高齢者活躍支援協議会を発足して、2012年に法人化。セミナーやシンポジウムには毎回多くの元気なシニアが参加して、目標実現に向けて前進しています。
●座右の銘ー
サミュエル・ウルマンの詩の冒頭部分が、
自分自身と周囲の方々へのメッセージです。
青春とは、人生のある期間を言うのではなく心の様相をいうのだ。優れた創造力、逞しき意志、燃ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春というのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむのである。
▼株式会社高齢社
http://www.koureisha.co.jp/
▼一般社団法人高齢者活躍支援協議会
http://www.jcasca.org/
▼カンブリア宮殿(2012年4月19日 放送)
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20120419.html
▼ガイアの夜明け(2012年2月9日放送)
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview100209.html
▼高齢社の新しいサービス
「かじワン」~家事代行サービス
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